夢見る肌色【成型色のお話】

紳士淑女の皆々様、ご機嫌麗しゅうございます。おもちゃ好き屋さんです。

青々としていた世界が、鋭く尖った気流の訪れとともに、紅に染まり上がろうとしています。


色彩というものは、そのもの固有のイメージであり、また移ろいゆく世界を視認することのできるきっかけです。
それらの持つ質量や艶、感触や匂いといったものも、色に大きく影響を及ぼします。

玩具にも、物と共に生まれ、そのからだの一部として存在する色があります。そうです。成型色ですね。
本日はそんな成型色に関するお話を、とあるガンプラを見ながらお伝えいたします。
初めにも載せましたこれらのガンプラは、成型色を楽しむために作ったものです。多く単色のパーツで構成されたキャラクターを選び、部分塗装を施して、鮮やかな身体が際立つよう仕上げました。ご覧の通り、ガンプラひとつをとってもその成型色は様々です。

そも、先程から申しております『成型色』とは何者なのでしょう。
プラスチック製品は、簡潔に言いますと『プラスチックの素』と『色の素』をドロドロに溶かし、混ぜたもので作られます。その『色の素』で着色されたものこそが成型色です。

成型色の魅力といえばやはり、剥がれ落ちることのない安心にこそあるでしょう。様々に苦楽を共にできる存在といっても過言ではありません。
そんなプラモデルの成型色でも、一際異彩を放っているのがこの真っ黒なものです。墨のような、緑髪のような艶やかさが魅力的ですね。
これは『エコプラ』と呼ばれるもので、様々な成型色のプラスチックを再利用して作られています。無論、先に述べたような黒い色の素も入っているのですが、それだけとは思えない深みを感じることができます。

さて、バンダイのプラモデルを語る上で外せないものの1つに、『電動式4色射出成形機』があります。難しい言葉のようですが、紐解いてみると、4色を電動で射出できる機械、であることが分かります。これにより、1枚のランナーに複数の色のプラスチックを成型できているのです。この技術は世界でも随一のものです。それを踏まえると、ガンプラは日本にいるからこそ楽しめる娯楽なのですね。

1つの技術を得ると満足し、他が疎かになるなどといった話はよく耳にします。しかしエコプラに目を向けると、日本のプラモデルが色や技術だけでないことが見て取れるのです。
エコプラは新規の金型ではなく、従来のものを使用しています。普段はカラフルなランナーが、真っ黒に染まるとどうでしょう。まるで艶やかな長髪の如き輝きを放っています。
それは色が良いのはもちろんのこと、このため息をついてしまうほど整然と並んだパーツの素晴らしさが成せる業でしょう。黒一色になったことで、そういった細かな心遣いが如実に現れているのです。
無論、4色の時もその配置の妙は揺るぎません。この写真のものは3色がクリア、1色がメタリックという特殊なものですが、色も並びも質も、全てにおいてうっとりしてしまいます。

今回はガンプラをメインにお話ししましたが、近年の成型色の発展は目覚ましく、高価格帯のフィギュアーツなどで用いられていても違和感のないほどです。また、以前に軽く触れましたが、技術の進歩によって色の幅も大きく広がっています。
塗装も成型色も、皆様それぞれの好みがあることでしょう。ただ、どちらも綺麗な色であるとこに変わりはありません。世界を鮮やかな目で見る時、そこにより良いおもちゃがありますことを、心よりお祈り申しております。

おもちゃ好きの話したがり

おもちゃへの興奮や感動、湧き上がる気持ちが溢れてしまいました。皆様も我慢なさいませんよう。

0コメント

  • 1000 / 1000