第二のウルトラマン【エグゼイドのお話】
季節も間も無く冬になろうかという時分、皆々様はいかがお過ごしでしょうか。おもちゃ好き屋さんです。
山の木々が軽やかにその姿を変え、肌を刺す風がいっそうその勢いを増してまいりました。四季の移ろいには時の流れをひしひしと感じます。緩やかに流れるように見える時間も、積もり積もれば歴史となるのです。
本日は、そんな歴史と現代が生んだヒーローデザインのお話をひとつ。
1966年7月17日、「ウルトラ作戦第一号」以降、様々なヒーローが地球を脅威から救ってくれています。白銀の体躯に真紅をまとったその姿は、今でこそ栄光のヒーローですが、当時の関係者には気味悪く感じた方もいらしたそうです。近年においても、新ヒーローには様々な意見が寄せられているのを目にしますし、人それぞれに生まれもった感覚は違います。賛否両論であるのは今昔問わず仕方のないことでしょう。
それでもその物語は、仮面ライダーやスーパー戦隊、アンパンマンたちなど、星の数ほどの仲間を増やしながら、現代まで脈々と受け継がれています。端的に言えば、銀色の宇宙人は成功したのです。
そして去る2016年10月2日、仮面ライダーエグゼイドが歴史にその名を連ねました。
そのストーリーの秀逸さや魅力に関して、当ブログにお越しいただける方なれば釈迦に説法でしょう。ここでは、そういったものを除いた純粋なキャラクターデザインとして、エグゼイドが成し遂げた偉業を、私見よりお話ししたいと思います。
まず、結論を述べますと、エグゼイドは究極に近いヒーローデザインです。
これにつきまして、私はゲームモチーフであることを全く考慮していません。より正確に言えば、ゲームモチーフであったことの副産物として究極に近いものが生まれたと考えています。
もちろん、胸のコントローラのようなディティールやライダーゲージと呼ばれる残り体力の表示、ゲーマドライバーの仕組みや特徴的な瞳など、ゲームらしさを想起させるに十分な要素は備わっています。ですがそれらは他のライダーにも同様に存在する、言ってしまえばゲームモチーフゆえの枷なのです。
言うまでもなく、それらの点は賞賛すべき素晴らしいデザインですし、格好良さを助長するものです。ブレイブもスナイプも、その他多くのライダーやフォーム全てが格好良かったと思っています。ただ、エグゼイドがその中でも頭抜けていたというだけなのです。
ところで、皆様はどのようなゲームがお好きでしょうか。マリオやドラクエ、メタルギアやぷよぷよ、ラブライブなど、そのジャンルは様々でしょう。この世には多くのゲームがあり、そのどれもを誰かが楽しんでいます。ゲームモチーフのライダー、エグゼイドは、その森羅万象全ての主人公でなくてはならず、それに成功していると私は思います。アクションゲーマーと名にある以上、デザインした方はそれをベースにし、きっかけとしたのでしょう。ですが私には、それを超えたものとして見えて仕方がないのです。
それが如実に見て取れるのが、顔のデザインです。他にないシルエット、他にない表情。最初にエグゼイドを見たとき、初めて出会う感覚にワクワクが止まらなかったものです。仮面ライダーはこうなければならない、ヒーローとはこういうものだ、そんなしがらみにとらわれていない姿は、まさにヒーローでした。
未知との邂逅。初めてウルトラマンを目にした人もきっと同じ、時代に鑑みるとこれ以上の感動を得たのだろうと思うと、似た感覚を味わえたことへの感謝と、これ以上があるかもしれないこと、それを生み出せる人間がいることへの悔しさで心臓がひたすらに高鳴ります。
さて、ここまではあくまで、エグゼイドのヒーローデザインについてお話をしてきました。ここからは、「仮面ライダーエグゼイド」としてのデザインについて語りたいと思います。
細々ながら、おもちゃ好きを名乗る身として、そして近年のヒーロー、特に仮面ライダーに欠かせないものといえばやはり心踊る玩具展開でしょう!
まず本体のフィギュアは、造形・設計・塗装の目覚しい技術の進歩や、これまでのノウハウにより、筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。レベル1からレベル2へのレベルアップギミックはもちろんのこと、各所に空いたジョイント穴がこれから来るかもしれないパワーアップや、企画の妙を感じさせてくれます。
そして、このシリーズの真骨頂とも言えるゲーマたち。アームズやパーカーゴーストに代表される、着込んで強化するアイテムが、更に個性やキャラクター性を持って、満足な物質感を獲得しています。遊びやディスプレイに華を添えるおもちゃであることは疑いの余地がありません。
そしてマキシマムゲーマーのボディパーツは、最後ながら今シリーズらしいギミックをしっかりと残した、私もお気に入りのアイテムです。
正直なところ、発売前はスイカアームズのような、フィギュアを搭載できるDX玩具が良かったと思っていました。今でもそういったものが出るのであれば欲しいとは思います。しかし、このボディパーツとフィギュアのセットという売り方が、レベル2、レベルXX、そしてムテキゲーマーと最後まで貫かれたことは、シリーズを追って購入していた身としては非常に嬉しいことでした。劇中での描写も相まって、いかにこの主人公が丁寧に扱われているかを感じることができたのです。このような、本編ありきの玩具において、そのキャラクターが大切にされていることが伝わってくる商品展開を見つけると、頰が緩んでしまいます。その上で、遊びやすく雰囲気もある商品として生まれたことは喜ばしい限りでした。
デザインひとつをとってみても、伝統を重んじるスーパー戦隊、長い歴史を常に進化させるウルトラマン、新しさを追い求める仮面ライダー、ルールのないローカルヒーロー、揺るがぬ主人公アンパンマンと、多種多様です。
皆様のお好きなヒーローは、どのような姿をしていますか?格好良いのはどうしてか、たまに思いを馳せてみてはいかがでしょう。そうすれば、興味のなかったヒーローや、触れることのなかったジャンルに、少しずつ歩み寄ることができると思います。
無論、これがヒーローから学べることの全てではありません。その広く、深い懐に身を委ね、思いのままにおもちゃを買い漁りましょう。おもちゃひとつと言えど、触れられる世界は無限大です。そういった巡り合わせの中で、皆様がより良いおもちゃに出会えますことを、心よりお祈りいたします。
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