しろがねの鼓動【ウルトラマンの銀色成型色のお話】
皆様は、ウルトラマンは何色であるか問われた時、どのように答えるでしょう。
世代によっては紫や青、はたまた虹色といった声が上がるやも知れませんが、多くの方が、幼き日の記憶や今なお滾る正義の心に、「銀」や「赤」を思い浮かべるのではないでしょうか。特に初代ウルトラマンを特異たらしめた宇宙人である、という設定上、銀色に輝く体躯は多くの人の心に残っているものと存じます。
移ろう時代に、ヒーローもその姿を変化させます。しかし決してゆるがぬ正義として、いつの世も側にいてくれることに変わりはありません。本日は、そんなウルトラマンを支え、共に成長を続ける「ソフビ人形」より、その生産に欠かすことの出来ない素材、特に色についてのお話を、魅惑的な銀色を例にお伝えいたします。
遡ること4年前、世界が深緑に染まる2013年初夏。ウルトラマンギンガの放映とともに、装いを新たにした新シリーズ「ウルトラヒーロー500」「ウルトラ怪獣500」が世に出ました。
久しぶりのTVシリーズとして期待を背負ったウルトラマンギンガは立派にその責務を果たし、翌年のギンガS、ウルトラファイトビクトリーにバトンを繋ぎます。
ここで、ウルトラマンのソフビに残るといっても過言ではない出来事が起こりました。ウルトラマンビクトリーの新形態、「ビクトリーナイト」の登場です。
冒頭で、ウルトラマンの色と聞いて想起するものは何かとお尋ねしましたね。そこで麗しい銀の肌についてお話ししましたが、これまでに販売されていたウルトラヒーローシリーズ(近年では最終的な金額から800サイズなどと呼ばれます)などでは、赤や青の成型色が主体で、印象の強い銀色は塗装で再現されることがほとんどでした。技術やコスト、結局の見栄えのためか、「銀色の成型色のウルトラマン」は存在していませんでした。(怪獣には度々見られますが、ウルトラマンに使用するには至らなかったのでしょう)
そんな中、ビクトリーナイトの成型色は、ラメが鏤められ、透き通るような美しさを湛えた、ウルトラヒーローソフビ史上初の、紛うことなき「銀色」だったのです。
……と言えると盛り上がったのでしょうが、実は過去、銀色部分を成型色に据えたソフビがありました。挑戦者の名はマルサン。ウルトラソフビシリーズはじまりの会社です。お世辞にも銀とは呼べない灰の色ですが、始祖は既に偉業をなさんとしていたのです。
ともかく、ビクトリーナイトにおいて、明らかな「銀色」としてウルトラマンに用いられる新たな成型色がもたらされたことは賞美すべき慶事です。
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