胎児の夢【カプセルベンダーのカプセルのお話】
紳士淑女の皆々様、御機嫌よう。おもちゃ好き屋さんです。季節も移ろい、秋の乾きをひしひしと感じます今日この頃、本稿が皆様の潤いになれますと幸いです。
当ブログをご覧になる方々にはよもや常識かと存じますが、表題にございますカプセルベンダーとは何ぞや、と首をひねる方もいらっしゃるかもしれません。
先にお答えしますと、これはいわゆる「ガチャガチャ」のことでございます。ではなぜガチャガチャと分かりやすい語を使わず、ひねたオタクのような真似をしたのかと申しますと、こちらも色々と考えがあってのことなのですが、端的に申して私がオタクだからです。
詳しくは語りませんが、企業によってカプセルベンダー、カプセルトイの呼称は異なり、それぞれが商標登録をされています。そのため、共通の呼び名として「カプセルベンダー」「カプセルトイベンダー」が存在するのです。
一口にカプセルと申しましても、その形は長い歴史の中で多様な変化を遂げています。
アメリカで生まれ、今ほどの娯楽がなかった時代、人類が宇宙へ到達せんとしていた頃の子供たちを熱狂させたカプセルトイ。その半身とも言えるカプセルの今を、一緒に覗いてみましょう。
カプセルトイのカプセルといえばこれ、と多くの人が共感するのがこの形ではないでしょうか。
透けた壁の向こうにちらりと見える魅力の権化に誘われ、決意の紐を緩めた方も多いはず。左右から押し込むとかちゃりと世界が開く感覚がたまらない一品です。一部、ひねって開くものもあったかと思います。
続いて、近年よく目にするようになった形です。若い方にとっては、こちらの方がカプセルトイらしいかも知れませんね。一体成型にも関わらず、無理なくかちりと開閉できる小気味良さには脱帽せざるを得ません。
そして、烈車戦隊トッキュウジャー輝きの遺産のひとつ、「ガシャポンカン」の専用カプセルです。カプセルトイにおける美学のひとつに、カプセルの中に収まる設計、が挙げられるでしょう。大きなカプセルの登場もそうだったのでしょうが、新たな形状のカプセルは、その美点をより活かし、拡大することを可能としたのです。新たなベンダーマシンが生まれた点も特筆すべきでしょう。
さて、カプセルの多様性に触れたところで、ここからはその「カプセル自体を活かしたカプセルトイ」を見てみましょう。これらも近年ちらほらと散見されるようになりましたが、初めて目にした時はその着想に感服したものです。アイデアによって生まれたカプセルベンダーが、よりアイデアの塊に近づいた瞬間でした。
こちらは、「カプセルアドベンチャー」。一見すると他のカプセルトイと変わりませんが、
ご覧の通り、カプセルの中には様々な装飾品が入っており、それらをカプセルに付けて遊ぶことができます。
カプセルトイの内と外がないまぜにされるような、この常識を超えた新しい感覚とは裏腹に、まさに読んで字のごとくのカプセルトイなのです。また、軸の径が共通ですので、自由に組み替えをして遊べるあたり、おもちゃとしても優れています。
続いてご紹介いたしますは、こちらもまさしくカプセルトイ。「おっきなアンパンマンマスコット」です。この写真の状態でベンダーマシンから出てきます。
中を開けると、きちんとミニブックも入っており、カプセルトイらしさを醸し出しております。
ここから胴などを外に出せば、
キャラクターが完成するといった仕組みです。これまでのカプセルトイとは違う、確実におもちゃであると認識できる造形が素晴らしい逸品です。
もうひとつ、カプセルの中に夢が広がるこちらの製品をご紹介しましょう。
その名も「カプセルキングダム」。先に、カプセルの開封を「世界を開く」と表現しましたが、その言葉に姿かたちを与えたものがこちらです。
中にはパーツやシールが入っており、それらを組み立てることでこの夢の箱は完成します。側面にあるレバーを動かせば、
いつでも物語の世界に飛び込むことができるのです。
では、カプセルトイのもつ世界観の話題が出たところで、毛色は違いますがご紹介したいものがございます。
名を「動物クレヨン」。この高級感、この美しさ、どの動物、どの色と出会おうと嬉しいラインナップ。おもちゃと言うには少し不釣り合いかも知れませんが、カプセルベンダーの新たな可能性をこれでもかと開いてくれた、賞賛すべき製品です。
カプセルトイの名の示す通り、これらの製品にとってカプセルはなくてはならない存在です。皆様の中にも、カプセルとの出会いを経験した方は多いことと存じます。中にはたくさんのカプセルとの邂逅と別離を繰り返してきた方もいるでしょう。カプセルトイにおいて、もちろん主役は中身のおもちゃですが、そのおもちゃが安価に手に入り、様々な場所で出会えるのは彼らカプセルの功績あってのことです。開封してから、ほんの少しだけ別れを惜しんでみてください。そしてそっと感謝をして、その中から生まれたおもちゃを握りしめましょう。欲しかったものも、そうではなかったものも、ちょっとだけ愛おしくなることと思います。その影にカプセルがあったことは、きっと忘れてしまうでしょう。けれど確かに、そこにはカプセルがあったのです。カプセルは、おもちゃと私たちを繋いでくれる、へその緒なのですから。
この世に溢れるおもちゃは、価格や販売方法だけを見ても様々です。欲しかったものが目の前にある嬉しさ、色々なものや予想外と出会える楽しさなど、おもちゃのもつ魅力は様々ですが、数ある幸福の中から、皆様がより良いおもちゃに出会えますことを、心よりお祈りいたします。
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