時代の声【おもちゃの音のお話】
ご無沙汰しておりました。おもちゃ好き屋さんです。夏の祭り囃子が清籟の演奏に変わって久しいこのごろ、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
木枯らしの奏でる葉擦れの音に心を奪われる方が多いように、おもちゃを手にした時の、プラスチックの織りなす旋律もまた、耳触りのいいものです。本日は、おもちゃの副次的な魅力、音についてお話しさせていただきます。
おもちゃの音、と言いましても、ボタンを押すと鳴る音声や音楽ではございません。特に変形玩具に多い、カチャカチャというあれのことです。凹と凸が出会ったり、ピンが徐々に収まっていったり。様々な可動や機構が、その時にしか聞けない調べを響かせます。軋みや擦れの音が、ぴたりとはまる設計を湛え、心を潤してくれるのです。私はこれが、ただのプラスチックや金属であったものに魂が宿った瞬間の1つだと感じます。
どの時代のおもちゃも、技術面やコストの都合上、その時に出来うる限界の機構が用いられております。そのため、時期によっておもちゃから響く音色も様々です。
本当であれば、こちらのページにその麗しの声を残しておきたかったのですが、残念なことにブログの仕様上それが叶いませんでした。しかし昨今、動画サイトを覗けば素晴らしい玩具レビューが山のようにございます。そういった見事な奏者様の動画から、設計の精密さ、流行りの機構、変わらぬ小気味の良さなど、聴き比べ、感じ取っていただけますと幸いです。
私も含め、このブログに足を運んでくださる皆様なれば共感いただけるでしょうが、おもちゃ達が発するこのシズル感の地層が堪らないのです。今回は音に関してお話ししておりますが、パッケージも、デザインも、ギミックも、ラインナップも、おもちゃというものは、どこをとってもその時を生きている存在であると思います。
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